新着情報(2020年11月2日):国税庁が令和元事務年度の「相互協議の状況」を発表

国税庁は2020年(令和2年)10月28日、令和元事務年度(令和元年7月1日から令和2年6月30日まで)の「相互協議の状況」を発表しました。それによると、新型コロナウィルス感染拡大による企業活動低迷の影響か、相互協議事案の総発生件数は、前年度の219件から19件減少し200件と3年振りに減少しました。一方総処理件数は、前年度の187件から1件減少の186件とほぼ横ばいにとどまりました。しかしながら、引続き発生件数が処理件数を上回ったことにより、繰越案件の件数は542件と過去最高を3年度連続で更新しました。

    相互協議事案のうち大部分を占める事前確認(以下“APA”)については、発生件数は前年度の163件から15件減少し148件へ、処理件数は前年度の146件から1件減少し145件となりました。

 (1)繰越事案の地域別内訳

    国税庁発表によると、令和元事務年度の繰越事案の数を国別に見ると、米国、インド、中国、韓国、ドイツの順となっています。地域別では、アジア・大洋州が327件(前年度比+25件)、米州が126件(同-13件)、欧州が89件(同+2件)と、米州の繰越事案が減少した一方でアジア大洋州が更に突出して多くなりました。

    相互協議事案全体に占めるAPAの割合をみると、米州では94%、欧州でも78%を占めるのに対し、アジア・太平洋では67%にとどまっており、アジア・太平洋では移転価格課税事案が多いことがうかがえます。

(2)処理事案1件当たりに要した平均期間

    令和元事務年度の処理事案1件当たりに要した平均期間は、前年度の34.1か月から29.4か月へと減少、内APA事案の1件当たりの平均的な処理期間も、前年度の34.5か月から30.7か月へと短縮されました。

(3)処理事案の業種別内訳(カッコ内は前年度)

    製造業 約70%(68%)、貿易・卸売・小売業 約17%(19%)、その他 約13%(13%)

(4)処理事案の対象取引別内訳(カッコ内は前年度)

    棚卸資産取引 約42%(48%)、役務提供取引 約33%(28%)、無形資産取引 約25%(24%)

(5)処理事案の移転価格算定方法別内訳(カッコ内は前年度)

    取引単位営業利益法 約59%(59%)、独立価格比準法約7%(2%)、利益分割法 約2%(6%)、原価基準法 約2%(1%)、その他 約30%(31%)

    

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