2018年1月:アジア主要国のBEPS対応文書化制度の比較

        OECD主導による世界的租税回避防止策であるBEPS(Base Erosion and Profit Shifting、税源浸食と利益移転の意)プロジェクトにより、OECD加盟国のみならず非加盟の主要国の多くも自国の税制改正を余儀なくされています。特に移転価格税制における三層文書化義務については殆どの主要国で税制改正が行われ、早い国では2016年度を対象初年度として移転価格文書の作成・提出が既に義務付けられています。よって2017年度の申告に当たる今年は、多くの国において子会社の文書化が必要か否か検討する必要があるでしょう。

        以下、日系企業にとって関心の高い近隣のアジア主要国のマスターファイル、ローカルファイルの制度の概要(作成又は提出の基準額及び期限)を比較表形式にて紹介します。なお、三層文書化のうちCountry-by-Country(CbC)レポートは、各国とも世界共通の基準(売上高750百万ユーロ相当以上の企業に対し期末後1年以内に提出義務を課す)を適用する為、今回は割愛します。

         <上記表の金額における( )表示の円建て表示額は、最近の為替レートを参考に算出した概算値です。>

         (執筆:株式会社コスモス国際マネジメント 代表取締役 三村 琢磨)

         (JAS月報2018年1月号掲載記事より転載)