新着情報(2019年11月6日):国税庁が平成30事務年度の「相互協議の状況」を発表

    国税庁は平成30年(2019年)11月付で、平成30事務年度(平成30年7月1日から令和元年6月30日まで)の「相互協議の状況」を発表しました。それによると、相互協議事案の総発生件数は前年度の206件から13件増加し219件と過去最多となりました。一方総処理件数も、前年度の166件から21件増加し、過去最多の187件となりました。

    相互協議事案のうち大部分を占める事前確認(以下“APA”)については、発生件数は前年度の166件から3件減少し163件へ、処理件数は前年度の122件から24件増加し146件となりました。

 (1)繰越案件の地域別内訳

    国税庁発表によると、平成30事務年度の繰越事案の数を国別に見ると、米国、インド、中国、韓国、タイの順となっています。地域別では、アジア・大洋州が302件、米州が139件、欧州が87件と、アジア大洋州が突出しています。

    相互協議事案全体に占めるAPA割合をみると、米州では96%、欧州でも80%を占めるのに対し、アジア・太平洋では66%にとどまっており、アジア・太平洋では移転価格課税事案が多いことがうかがえます。

(2)処理事案1件当たりに要した平均期間

    平成30事務年度の処理事案1件当たりに要した平均期間は、前年度の29.9か月から34.1か月へと増加しました。内APA事案の1件当たりの平均的な処理期間も、前年度の30.7か月から34.5か月へと増加しました。

(3)処理事案の業種別内訳(カッコ内は前年度)

    製造業 68%(61%)、貿易・卸売・小売業 19%(32%)、その他 13%(7%)

(4)処理事案の対象取引別内訳(カッコ内は前年度)

    棚卸資産取引 48.4%(43.9%)、役務提供取引 28.0%(29.4%)、無形資産取引 23.6%(26.8%)

(5)処理事案の移転価格算定方法別内訳(カッコ内は前年度)

    取引単位営業利益法 59.4%(61.7%)、原価基準法 0.6%(4.5%)、独立価格比準法2.4%(4.5%)、利益分割法 5.9%(2.5%)、その他 31.2%(26.8%)

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