平成31年度税制改正大綱-国際課税に関する主な改正点

    2018年(平成30年)12月14日付で発表された平成31年度税制改正大綱の、国際課税の分野における主な改正の概要は以下の通りです。

1.過大利子支払税制(2021年4月以降開始年度分より適用)

    過大利子支払税制とは、日本法人が海外の関連者に過大な利子を支払うことにより租税が回避されることを防止するため2013年度より適用された税制ですが、これが現行に比べ格段に厳しくなります。具体的には:

    • 対象となる純支払利子(利息の受取分を控除)が、現行では関連者向けのみが対象ですが、改正後は第三者(銀行等)を含む全ての純支払利子が対象となります。
    • 純支払利子の損金算入限度額が、現行の調整所得金額の50%から、20%へと大幅に下がりました。しかも上記の通り純支払利子の定義が第三者向けまで含められたため、実質的に損金算入できる関連者向けの純支払利子は大幅に減少すると考えられます。

    ここまでやられると、特に資金調達を海外の関連会社から行っている場合が多い外資系日本法人の事業計画にも影響を及ぼすことは否めず、日本撤退を検討する法人が少なからず出ることが予想されます。

2.移転価格税制(2021年4月以降開始年度分より適用)

    移転価格税制においては、予想通りOECDのBEPS最終報告書に則して、無形資産関連の大幅な改正が行われました。特に、予測収益等の額を基礎として価格(ロイヤルティ料率等)を設定せざるをえない、評価困難な無形資産については、実際の収益が予測時より20%超変動した場合には実際の収益に基づいて課税できるという、いわゆる所得相応性基準が導入されましたので、海外子会社の収益性の変化にもかかわらず、設立当初のロイヤルティ料率を固定したままの企業などは注意が必要と思われます。

(1)無形資産取引に関する改正

    (a)移転価格税制の対象となる無形資産の明確化

    移転価格税制の対象となる無形資産について、「法人が有する資産のうち、有形資産及び金融資産(現金、預貯金、有価証券等)以外の資産で、独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って譲渡・貸付け等が行われるとした場合に対価の支払いが行われるべきものとする。」等明確化されます。

    (b)移転価格算定方法(以下“TPM”)の整備

    TPMとして従来認められている主要な5つの算定方法の他、OECD TPGにおいて比較対象取引が特定できない無形資産取引等に対するTPMとして有用性が認められているディスカウント・キャッシュ・フロー法(以下“DCF法”)が加わります。これに伴い、独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類の提出等がない場合の推定課税におけるTPMに、国税当局の職員が国外関連取引の時に知り得る状態にあった情報を基にしてDCF法により算定した金額を独立企業間価格とする方法を加えます。

    (c)評価困難な無形資産に係る取引(特定無形資産取引)に係る価格調整措置の導入

    特定無形資産(以下3つの要件の全てを満たす無形資産:①独自性があり重要な価値を有する、②予測収益等の額を基礎として独立企業間価格を算定する、③独立企業間価格の算定の基礎となる予測が不確実であると認められる)の取引に係る独立企業間価格の算定の基礎となる予測と結果が20%を超えて相違した場合、税務当局は当該特定無形資産取引に対し最適な価格算定方法により算定した金額、つまり実際の結果に基づいた算定を独立企業間価格とみなして更正等をすることができるとしています。

(2)移転価格税制に係る更正期間等の延長(現行の6年から7年へと1年延長)

(3)差異調整方法の整備(四分位法の使用)

3.外国子会社合算税制(2020年4月以降に終了する事業年度の合算課税より適用。但し以下(1)(c)及び(5)については、2020年4月以降に開始する外国関係会社の事業年度より適用)

    外国子会社合算税制については、米国の法人税率が同税制に抵触する21%となったことを考慮し、ペーパー・カンパニーの範囲から一定の事業に係る外国関係会社を除外するという措置がとられます。一方で、いわゆる企業グループ内の再保険を専門に引き受けるキャプティブ保険会社をターゲットとしたと思われる、事実上のキャッシュ・ボックスに関する定義の拡大などが行われています。

(1)特定外国関係会社

    (a)ペーパー・カンパニーの範囲から、次の外国関係会社を除外する。

        • 持株会社である一定の外国関係会社
        • 不動産保有に係る一定の外国関係会社
        • 資源開発等プロジェクトに係る一定の外国関係会社

    (b) ペーパー・カンパニーの判定における保険委託者特例についての措置

    (c) 事実上のキャッシュ・ボックスの範囲に、次のいずれにも該当する外国関係会社を加える。

            • 当該事業年度における非関連者等からの特定収入保険料の合計額の収入保険料の合計額に対する割合が10%未満である外国関係会社
            • 当該事業年度における収入保険料に係る非関連者等に対する一定の支払再保険料の合計額の収入保険料の合計額に対する割合が50%未満である外国関係会社

(2)対象外国関係会社(非関連基準)(保険業を主たる事業とする外国関係会社の非関連基準の判定についての措置)

(3)会社単位の合算課税制度における適用対象金額

(4)適用免除基準における租税負担割合

(5)部分合算課税制度における部分適用対象金額

(6)二重課税調整 その他

    本件についてご不明な点がありましたら、弊社までご遠慮なくご連絡ください。